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01/10/2026
Vol.15 「バロック音楽を聴くこと」
「バロック音楽を聴くこと」
これまで、バロックの魅力や演奏家の想い、
そして会場となる大倉山記念館について綴ってきました。
今回は少しだけ、「聴くこと」そのものを考えてみたいと思います。
企業人として忙しくしていた頃の自分自身がそうでしたが、
Popsやジャズには親しんでいた一方で、
バッハやヴィヴァルディは、
どこか哲学などの学問の一領域に属する音楽のように感じられ、
自分の日常とは少し距離のある存在でした。
慌ただしさの中では、
クラシックの世界は、とりわけバロックの世界は、
自分には縁遠いものとして
視界の外に置かれてしまうことがあります。
けれど、静かな場でバロック音楽と向き合ってみると、
それは縁がなかったのではなく、
ただ目を向ける心の余裕がなかっただけなのだと、
気づかされます。
たとえば、旅先で寺の枯山水を眺めるとき、
あるいは茶室で、慣れない手つきで抹茶をいただくとき、
ふだん味わうことのない静寂の中で、
自分をそっと見つめるその時の感覚に近いものがあります。
そのとき音楽は、
「向こうから寄せてくるもの」から
「自分のほうから向き合うもの」へと、立場を変えます。
自分から音楽と向き合う中で、
音楽が、そっと入り込んでくる。
そんな時間が、ときにはあってもよいのではないでしょうか。
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